就活早期化から生じる学業への影響は単位認定の厳格さで対処するべき

経団連会長が就活ルールの廃止に向けた意見提言をした。 要は、早い時期から企業が採用活動を開始するとの宣言だ。 その結果、学生の就職活動も早い時期から開始されるようになることは、目に見えている。 大学は常に学業への影響を気にしている。 内申では…

「ハナレイ・ベイ」村上春樹 息子の視点から。

ねえ、どうしてなの? そういうのってちょっとあんまりじゃないの、と。 村上春樹の短編小説の中でも、人気作の一つ、「ハナレイ・ベイ」のクライマックスシーンである。 東京奇譚集 (新潮文庫) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2007/11/28 …

全国戦没者追悼式の発言雑感ーー戦争、戦没者、戦後への思い

8月15日の正午はどんなに眠くても必ず起きることにしている。 全国戦没者追悼式をNHKで見ながら、黙祷をするためである。 この日は、社会人になる前は夏休みだったし、社会人になってからもお盆を休める職に就けたことはとても良かったと思う。 小学校の…

小和田哲男監修『戦国 戦の作法』

人間の歴史は戦争の歴史といって良い。 日本の歴史もそうだ。 戦国時代だけでなく、他の時代だって、大小の戦争が歴史を動かしてきた。 だから学校でも戦争の歴史を習い続けている。 ただ、そこで教わるのは、誰と誰が戦ったのか、どちらが勝ったのかが中心…

『「毒親」の正体ーー精神科医の診察室から」

母の日の翌日に上げる本ではないかもしれない。 中々ヘヴィーな本である。 地獄へと続く道は、善意で敷き詰められている。 そういったのはカエサルだったか、レーニンだったか忘れたが、この本を読んでいる途中で思い出した。 毒親ーー子育てにある種の問題…

深澤 諭史『Q&A 弁護士業務広告の落とし穴』

弁護士も広告を出す時代になった。 過払い金請求が流行しはじめた頃から、大手の事務所が広告を出し始めた。 ビラやCMなどの分かりやすいものから、インターネットサイトまで。 これらの広告は弁護士の業務を拡大させたとともに、 弁護士を利用したい人達…

卓球と今後の日朝関係

ゴールデンウィーク中に象徴的な事件が起きた。 世界卓球の準々決勝戦で対決するはずだった北朝鮮と韓国が、突如として南北合同チームを結成し、不戦敗、準決勝進出というニュースである。 その後の準決勝は、日本との対決で、日本が南北合同チームを制し、…

『民を殺す国・日本』 日本の無責任さ

フクシマの事故の反省なくして、原発の再稼働はあり得ない。 それは極めて当然の主張だと思う。 事故が何故起きたのか解明されていないということは、また同じような地震で、同じように原発が事故を起こす可能性があるということだからだ。 事故の広範性、深…

『原子力規制委員会――独立・中立という幻想』

福島の事故から早いもので7年が過ぎた。 しかし、原発、原子力に対する反省は未だ十分ではない。 国家権力というのは、かくも反省しないのだというニュースばかりだ。 原子力規制委員会――独立・中立という幻想 (岩波新書) 作者: 新藤宗幸 出版社/メーカー: …

民事執行の冬

冬が過ぎ、ようやく春かと思えば今は夏日。 今年の冬は民事執行が多かった。 特に動産執行。 債務者の家に行って、売れそうな家財道具などを押さえた。 それでも、売れることなんてほとんどない。 そもそも売れる価値のある家財なんてほとんどない。 売れそ…

問題解決の面白い話

読書猿先生が東洋経済オンラインに面白い記事を載せていた。 問題解決の方法についてだ。 https://toyokeizai.net/articles/-/204743?display=b 子どもにギャンブルをやめさせるために、親が敢えて「週に2回ギャンブルを教えて! お金を払うから」と言うと…

自衛官による国会議員罵倒について

現役自衛官が国会議員を「国民の敵」呼ばわりする事件が発生した。 直ちに統合幕僚長、防衛省事務次官が謝罪するなど、事件終息に向けた動きがなされている。 しかし、かなりのインパクトのある事件だった。 過去、自衛官による発言が大いに注目された例に、…

『世界一シンプルなバフェットの投資』 金があったらそうしたい

ウォーレン・バフェットといえば、世界有数の大金持ち。 株の売買で財を成した人だ。 株の売買で儲けを出す理屈は簡単なことだ。 それは株以外の全ての商品と同じく、安いときに買い、買った時より高い値段で売る、というものだ。 株の値段は原理上、0.1秒ご…

『ほんとうの中国の話をしよう』 読書にあった時期の話

ある母親が言っていた話。 「子どもに性的な描写のある漫画を読ませたくないのに、最近の漫画は油断すると性描写がある。」 だから、漫画は読ませないのだそうだ。 子どもの年齢によっては至極もっともな意見だ。 教育方針として間違ってないのだろうと思う…

『ジョーカー・ゲーム』 こんなスパイになりたかった

本当かどうか知らないが、昔聞いた話。 ロシアのプーチンは、幼い頃、旧ソ連のスパイ機関KGBへ「スパイになりたい」と訪問したそうだ。 そのときの担当のスパイ(?)は、「スパイになりたい人をスパイにするのではなく、スパイになれる人を我々がスカウト…

『服従の心理』 異を唱える勇気

スタンレー・ミルグラム『服従の心理』山形浩生訳、河出文庫、2012。 服従の心理 (河出文庫) 作者: スタンレーミルグラム,山形浩生 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2012/01/07 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 16回 この商品を含むブログ (29件)…

『西原理恵子×月乃光司のおサケについてのまじめな話』 「家族が憎しみあわないために」

家族が憎しみ合わないために。 それが本書の目的である。 西原理恵子月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気 作者: 西原理恵子 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2010/07/01 メディア: 単行本 購入: 15人 クリック: 457回 この商…

『死刑執行された冤罪・飯塚事件 久間三千年さんの無罪を求める』 

飯塚事件弁護団編『死刑執行された冤罪・飯塚事件 久間三千年さんの無罪を求める』 死刑執行された冤罪・飯塚事件: 久間三千年さんの無罪を求める (GENJINブックレット) 作者: 飯塚事件弁護団 出版社/メーカー: 現代人文社 発売日: 2017/11/20 メディア: 単…

『学生を戦地へ送るには:田辺元「悪魔の京大講義」を読む』 佐藤優劇場

佐藤優『学生を戦地へ送るには:田辺元「悪魔の京大講義」を読む』新潮社、2017 学生を戦地へ送るには: 田辺元「悪魔の京大講義」を読む 作者: 佐藤優 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/07/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 元外…

『一九八四年[新訳版]』ディストピア観光ガイド

ジョージ・オーウェル『一九八四年[新訳版]』髙橋和久訳、早川書房、2009 一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫) 作者: ジョージ・オーウェル,高橋和久 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2009/07/18 メディア: ペーパーバック 購入: 38人 クリック: 329…

『大人のための国語ゼミ』 大人ではなく高校生ぐらいに読んでほしい本

野矢茂樹『大人のための国語ゼミ』山川出版社、2017。 大人のための国語ゼミ 作者: 野矢茂樹 出版社/メーカー: 山川出版社 発売日: 2017/08/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4件) を見る 野矢茂樹先生といえば『哲学航海日誌』(1…

『百万光年のちょっと先』 「宇宙に2人だけみたいだね」って感じのショートショート

古橋秀之『百万光年のちょっと先』集英社,2018。 百万光年のちょっと先 (JUMP j BOOKS) 作者: 古橋秀之,矢吹健太明 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2018/02/02 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 古橋秀之先生の新しい…

『欲望の資本主義 ルールが変わる時』 ゆっくり休めばいいじゃないですか。

『欲望の資本主義 ルールが変わる時』丸山俊一+NHK「欲望の資本主義」政策班,東洋経済新報社,2017。 欲望の資本主義 作者: 丸山俊一,NHK「欲望の資本主義」制作班,安田洋祐 出版社/メーカー: 東洋経済新報社 発売日: 2017/03/24 メディア: 単行本 この商…