『「毒親」の正体ーー精神科医の診察室から」

    母の日の翌日に上げる本ではないかもしれない。

    中々ヘヴィーな本である。

 

    地獄へと続く道は、善意で敷き詰められている。

    そういったのはカエサルだったか、レーニンだったか忘れたが、この本を読んでいる途中で思い出した。

 

    

 

     毒親ーー子育てにある種の問題を抱えている親、を精神科医の立場から分類し、毒親と付き合う上での、あるいは、人生を取り戻すステップが書かれている。

     その意味で、毒親に苦しんでいる人に向けて書かれている本だ。

     ただ、幸いなことに、自分の親が毒親ではないため、本当に苦しんでいる人に納得感を与えられるかは知る限りではない。

     しかし、そういう本になっていたら、とても価値のある本だろう。

 

     毒親向けの章もあり、ーーだからといって、本当の毒親がこの本を手に取るかは疑問だがーーその意味でも参考になる。

 

     法律相談でも、子どもをスポイルしてしまいそうな親の相談をよく受ける。

     何しろ彼らは良かれと思っているのだ。

     良いことだと思っているから、それは悪い結果になる可能性を見ようとしない。

     カエサルの言葉だったが、「人は見たいと思う事実しか見えない」とはまさに至言である。