『世界一シンプルなバフェットの投資』 金があったらそうしたい

 ウォーレン・バフェットといえば、世界有数の大金持ち。

 株の売買で財を成した人だ。

 

 株の売買で儲けを出す理屈は簡単なことだ。

 それは株以外の全ての商品と同じく、安いときに買い、買った時より高い値段で売る、というものだ。

 

 株の値段は原理上、0.1秒ごとに値段を決めることさえできる。

 ある株の値段は0.1秒後には変わっており、さらに0.1秒後にはまた変わっている。

 この値動きを利用して、最近の株の売買は、目にもとまらぬ速さで売り買いを行っているそうだ。

 値動きは非常に小さいので、利益を出すためには、大量の株を売買することになる。

 「今日はこの株を買おうかな。」ではなく、

 「この瞬間に全株を買って、全株を売る。」という日常的には理解不能な取引をしているのだ。

 

 このような株売買をバフェットは行わない。

 非常に価値のある企業であるはずなのに、何らかのきっかけで株が安くなってしまった場合に、バフェットは株を買うことを勧める。

 いずれ企業価値が元の値段、あるいはそれ以上になった時、バフェットは大儲けすることになる。

 それも株を売ったお金ではなく、配当で。

 価値のある企業を探すことも、株を買うきっかけを待つことも、配当を貰い続けることも、忍耐のいることだ。

 

 そういったことのエッセンスがこの本に書かれてあった。

世界一シンプルなバフェットの投資

世界一シンプルなバフェットの投資

 

  バフェット信者が書いた本であることは文体から解る。

 書いてある事に取立てて異議を申し述べるつもりはない。

 しかし、重要な前提が抜けているようにも思う。

 「金持ちになりたければ、バフェットの真似をしろ。何故ならバフェットは成功しているからだ。」

 この真似っこ作戦が上手くいくのは、バフェットと同じ環境に置かれることが前提となる。

 具体的には、バフェットのように勉強ができ、企業の価値を見極める目を持ち、そして何より最初の株を買うための資金を持っていることだ。

 

 要は、金があったらできるけど、金がなければできません。

 もちろん、バフェットになりたいというほどの夢を持たないのであれば、ささやかに投資して儲けることもできるであろう。

 だが、バフェット流を真似するなら、金もないのに、1日の大半を読書と考えることに充てるという、日常的な労働者の生活は捨て去ることになる。

 

 「あなたは一生、苦しんで地から食物を取る。」(創世記3:17より抜粋)