民事執行の冬

 冬が過ぎ、ようやく春かと思えば今は夏日。

 今年の冬は民事執行が多かった。

 

 特に動産執行。

 債務者の家に行って、売れそうな家財道具などを押さえた。

 それでも、売れることなんてほとんどない。

 そもそも売れる価値のある家財なんてほとんどない。

 売れそうでも差し押さえられなかったりする。

 差押禁止動産の種類が多岐にわたる。

 現金も66万円までは押さえられない。

 

 はっきり言って、借り得だ。

 踏み倒そうと思えば、容易に踏み倒せるのが、今の法律だ。

 

 民事執行制度の実効性が弱いのだ。

 債務者の預金があるかないかも、調べる術は皆無だ。

 家族の預金にしてしまえば、債務者の財産でもなくなる。

 

 誰もが容易に自分の権利を実現できないのであれば、誰が法律を信頼するのだろうか。

 相談者に「裁判で勝っても、回収の見込みはありません」というのは割りと辛い。

 

 マイナンバーで色々なものが紐づけられるのてあれば、財産調査にも活かしてほしい。

 人から金を借りて、返す気がない奴に、いっちょ前に財産権を主張する権限などない。