深澤 諭史『Q&A 弁護士業務広告の落とし穴』

 弁護士も広告を出す時代になった。

 過払い金請求が流行しはじめた頃から、大手の事務所が広告を出し始めた。

 ビラやCMなどの分かりやすいものから、インターネットサイトまで。

 これらの広告は弁護士の業務を拡大させたとともに、

 弁護士を利用したい人達に情報を与えたという評価が可能だろう。

 

 他方で、弁護士業の広告が消費者を惑わせるものであってはならない。

 そこを遵守できなかったのがアディーレ法律事務所の事件だ。

 

 また、弁護士の品位を保つものである必要もある。

 一般消費者にいわせれば、食えないプライドでものを言っているようにも聞こえるだろう。

 しかし、根拠もない自慢話を載せたり、いい加減な話で期待感を持たせてはならないのは当然のことだ。

 

 そのために、例えば「労働法専門です」とか「どんな事件でも受任します!」などという表現は慎まねばならないのだ。

 そこら辺の事情を分かりやすく書いているのが、こちらの本。 

Q&A 弁護士業務広告の落とし穴

Q&A 弁護士業務広告の落とし穴

 

 

 

 この慎むという行為こそ、品位の本質だと思う。

 言わない方がよいこと、やらない方がよいことをきちんと判断して、せずにいられる人は品位を保つ人なのだろうと思う。

 品位は「保つ」というが、品位は存在することが前提で、それを維持することに注意が向けられているように思う。

 余計なことをして、品位を害することをしない、というあり方こそが望ましい。

 

 そういうものなのだろうなと思う。

 中々に弁護士の品位とは難しいものではあるが。